発送電分離

 発送電分離の法案提出を今年国会提出しない可能性が出てきたことが報道されています。結構なことだと思います。

 発送電分離をめぐる経済モデルは盛んに研究されていますが、「実際にどんな問題点が出るか」は経済学の論文ではわかりません。

 電力供給の現場を預かる電力会社の言葉が信用してもらえないとき、そして第三者の研究者まで電力会社との関与の太さで信用をうんぬんされるとき、実際に起こる問題を客観的に整理し、発送電分離の得失を冷静に論じることは困難です。

 ましてや、電力会社をこらしめる方法として発送電分離を論じるべきではありません。それは日本を電力会社に投げつけるようなもので、投げつけたものは普通壊れます。

 私自身は発送電分離の利が大きいか害が大きいか、はっきり述べる根拠を持ちません。ただ、今はこの問題を判断すべき時期ではないと考えます。大規模停電で直接間接に人が死ぬのだということを我々は学びました。そのリスクについて専門家と冷静に話し合える時期を選んで、この問題を処理すべきだと思います。