現代の独占・寡占

 世界市場がつながった結果、国内での高シェアが世界市場での競争力確保はおろか、国内市場での独占力行使すら保証しなくなりました。マルハとニチロの合併をめぐる報道は、それでも先行きは厳しい、という見方で一致しています。
 生産技術に、非常に大きな規模の経済性があれば、世界でメーカーがごく少数になることはあります。典型的なのは(銀塩)カラーフィルムで、2000年には世界のカラーフィルムはフジ、コダックアグファコニカの4社が持つ、わずかな数の工場が生産していました。デジカメに押された結果、アグファのフィルム部門は独立後2005年に破産、コニカミノルタフォトイメージングは今年度中にカラーフィルムの生産をやめて、使いきりカメラの形での販売だけにします。もう2社しかないのです。まあこの業界は、現像機器(ラボ機器)がどうしても特定メーカーのフィルムに最適化されてしまうので、ラボ機器の開発力、最大手独立ラボ機器メーカーであるノーリツ鋼機との仲のよさ、という下流の技術事情でもメーカー数が絞られてきたのでしょうが。
 この他に世界的な独占・寡占が安定して成立するのは、特許権著作権などの知的所有権を梃子に出来る、ごく限られた状況だと思います。ウインテル連合に続いて、液晶・プラズマの技術を日本メーカーが上手に囲い込んで、アメリカとの前哨戦が始まったようですね。