劣化ウラン

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3

 天然のウランには、核分裂を起こしやすいウラン235がすこしと、思いっきり高温高圧にすると核融合を起こすけど今の原子炉や原爆には使えないウラン238がたくさん、混ざっています。
 劣化ウランは、ウラン235を核燃料用に濃縮した残り。あんまり放射能はないのですが、大量にばら撒くとチリツモってことはあるかもしれないし、化学毒性があります。腎臓に悪いそうです。
 
 劣化ウランのデータが見つかりませんが、原子量がちょっと違うだけだから、ウランの一般的な比重と同じくらいでしょう。比重は19。鉄が8足らずだから、体積の割に重いのです。そういうわけで、上のWikipediaにも書いてあるように、飛行機のバランスを調整するために積まれたり、堅い弾頭で装甲板を貫くタイプの弾丸に使われたりします。

 1985年、御鷹巣山日航機事故では、B747に使われていた劣化ウラン海上やら現地やらに飛散しました。
http://www.nuketext.org/du.html
 「kg」を機種依存文字で書いたせいで、ところどころ「・」になっていますね。置き換えて読んでください。
 劣化ウランの「破片があっちにもこっちにも落ちている」程度で放射線や化学毒性の被害が出るのか、公的機関はまだどこも確信が持てないようです。しかし漠然とした危険性は認識されていて、日本の航空会社はこの事件後、旅客機のマスバランスを別の金属に変えましたし、自衛隊劣化ウラン弾を使っていません。
 1991年の湾岸戦争で、アメリカ軍は戦車の砲弾や、戦車を飛行機から打ち抜く大型機関砲の弾丸として、300トンくらい劣化ウランを使いました。さすがにこんな量になると、どうも従軍者にある種の健康被害が多いぞ、と疑う人や団体がいます。ただ因果関係をはっきりさせるには、公害問題はたいていそうですが、たくさんのデータを長いことかけて処理して、証拠をつかまなければなりません。「こんな例があった」では「劣化ウランのせいだ」と国や関係者は責任を認めないのです。

 最近、2001年のテロで旅客機が突っ込み、破壊されたアメリカ国防総省から劣化ウランが検出されたから、これは旅客機ではなく別のもの(例えば巡航ミサイル)が突っ込んだ証拠だ、2001年のテロはアメリカ自身の陰謀だ、と主張する人がいるそうです。
 巡航ミサイルは目標を貫くのではなく、爆発するタイプのミサイルで、劣化ウランを積む理由が特にありません。ミサイルにもマスバランスがないとは言い切れませんがね。
 それに対して、ちょっと古くて余計な費用をかけていない(アメリカの航空業界は競争が厳しく、最近の原油高騰で倒産が続出したことは、皆さんご存知ですね)旅客機なら、2001年当時まだ劣化ウランのマスバランスを持っていた可能性は、十分にあるのです。