所有権と利用権をめぐって

 海洋・森林など「土地」には、エンピツやノートに対する所有権と同様のものが設定されている場合もありますし、「公海」のように、それがない場合もあります。人は土地を利用するために欲しがるのですから、「利用権」について約束事があれば、「所有権」ははっきり決めなくてもいいわけです。
 日本でも山林から燃料用の雑木や牧草を取ったり、木を育てたりする「入会権」と総称される権利が所有権とは別にあって、いろいろな法律問題を起こしてきました。「入会と法」(渡辺洋三、東京大学出版会)は埼玉大学図書館にも所蔵されていますから読んでみて下さい。
 そうした、所有権との境界にある世界中のいろいろな権利について総括的に論じている本が、加藤雅信「『所有権』の誕生」(三省堂)です。これも埼玉大学図書館にあります。
 社会人大学院生はいろいろな問題を持ち込んでくるので、こちらも自分の専門外にどんどん手を出さなければならないのがつらいところでもあり、面白いところでもあります。