謹賀新年

 不精をしていて帰省の切符がグリーン車しか取れず、Wedgeを読んでいたら商工中金の大武健一郎さんによる「お金を貯められなくなった日本人 変わる財政の舵取り」という記事がありました。2004年国民所得統計で家計貯蓄率はもう2.7%まで落ちていて、老人世帯が貯蓄を取り崩しているのが主因だけれど、若年層も昔ほどには貯蓄しなくなっている、という内容でした。
 この2.7%という数字はたぶん、家計の純貯蓄国民可処分所得(家計)で割ったものですね。世帯主の年齢と貯蓄額・負債額の関係はこちらなどを。昔はこの調査は貯蓄動向調査といったのですが、家計調査に統合されました。
 むかしは40歳くらいでどどんっとローンを背負うのがパターンでしたが、いまの30代は昔より住宅ローンを背負っているように思いますね。貯金が減っているというより、借金が増えていると。たたこのへんはもう建売第二世代ですから、二世代ローンを組んでいたり、親の土地に家だけ建てていたりする一部の家計が平均を引っ張っている可能性もあります。もちろん、冷静にマンションの底値買いをした家計もあるでしょう。
 老人世帯のストック取り崩しはライフサイクル上当然なので、単年度の貯蓄がマイナスになったからといって消費拡大の余地がないとは言えませんが、若い層で余裕のある家計は、もう住宅投資をしてしまっている感じですし、(貯蓄-負債)を大きくする余地はあまりなさそうです。
 そうなると気になるのは国債の消化です。外国人投資家にたくさん国債を持たれて、ある日どどんと売り浴びせられるとたちまち長期金利は急騰し、政府予算の利払費が兆単位で跳ね上がります。日本政府はそれに耐えられず、日銀の買い切りオペ大幅増加でしのがざるを得ないだろう、と足元を見られたら昭和初期の金解禁と同じ目にあいます。