医薬品のネット販売と転売

http://www.asahi.com/health/news/TKY200812210167.html:Title=万引きした薬、買い集め割安転売 容疑の卸会社長ら逮捕(Asahi.com)

 数年前に「テレビ電話での薬剤師説明があれば、店頭に薬剤師がいなくても医薬品販売が出来るか」という問題が起き、「ダメ」と厚労省が判断したことが論議を呼びました。「医薬品販売をコンビニなどにも認めるべきだ」という主張が力を得たのです。

 これに対する厚労省側の(当面の)回答は、「今まで医薬品に分類していたものを、販売に規制のない医薬部外品や、製造にも規制のないただの食品に分類し直す」というものでした。カフェイン含有量が比較的少ない銘柄のドリンク剤が、自販機やコンビニに流れてきました。しかしいまだに「薬剤師がいないと医薬品は売れない」制度は堅持されています。

 これに対する抜本的な制度変更が、https://news.cabrain.net/article/newsId/19249.html:Title=2009年6月に予定されています。対面販売が義務付けられることによって、テレビ電話での対応などが違法化されるだけでなく、通信販売やネット販売も多くの一般用(処方箋が要らない)医薬品で違法となります。同時にhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BB%E9%8C%B2%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E8%80%85:Title=登録販売者が新設され、特に注意を要する第一類以外の一般用医薬品を売ることができるようになります。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?BID=495080137の「別紙(PDF)」にある「○ 郵便その他の方法による医薬品の販売等【法第9条、第11条、第38条、新法第29条の2関係】」が、現在の厚労省案です。

 ネットなど存在しない昭和30年代に、すでに通信販売は存在し、業界雑誌などでは問題視されていました。以来ずっと法の谷間であったことになります。先例が見逃されたまま放置されると、いまさら違法ともいえなかったのでしょうね。今ではネット薬局の業界団体もあり、http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081211/321262/:Title=反対運動もあります

 ネットでは声の大きい人たち(例えば楽天やYahoo)が反対運動側にいるので少々やりにくいですが、「説明」がどれほど実質的で重要かが制度上のポイントになっている半面、それが本当に最重要ポイントなのか、という疑問も持ちます。知識不足による個人の医薬品誤用・濫用が第二類医薬品をめぐる最大の問題なのかと。例えばED治療用の医薬品が濫用されるのは知識不足というより未必の故意による不摂生でしょう。そうした行為を抑制するための個人向け薬剤投与量管理には一定の意義があり、通信販売を特に危険な類型と考えてもおかしくないと思いますが、それならそういう趣旨説明をすればよいと思います。市民の直感として、大量摂取が危険なものであれば通信販売を規制する根拠はあると思いますが、現在の提起方法では厚労省の過去のメンツが前面に出ている印象を持ちます。

 薬局の経営上・競争上の考慮で価格競争を抑制するのであれば、http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#s1:Title=薬事法第一条の立法趣旨を超えていますから、省令であろうとなかろうとこの法律で規制するのは適切でないように思います。