大学の地域分業に関わる与太

 いくら私でも書いていい話と書いちゃいけない話の自主基準というのはあるわけです。今回の話はそれに抵触するので別の惑星の話みたいにぼかして書かないといけないわけですが。いかなる意味でも裏話を知って書いているわけではないので、そこのところはひとつよろしく。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/018/gijiroku/08022508/002.htm:Title=学士課程教育の再構築に向けて(審議経過報告)では、地域ネットワークによる大学の協力と、それに対する国の支援が強調されています。

 大学の地域協力。研究予算における大学のグレード固定。そして大学の役割分担明確化。これらはデリケートな関係にあるので、出てきた文書を深読みすればいくらでもできるし、決定的なことを書かないように皆さん気をつけていると思います。さかのぼれば、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E9%87%8D%E7%82%B9%E5%8C%96:Title=大学院重点化をいくつかの国立大学について行ったところで、ある程度勝負はついているんだと思いますが。

 さて、役割分担を強調する方向で恒久的ネットワークが構築されるとしましょう。ある程度地理的にここで区切るしかない線ってありますよね。海とか。区切られた中でトップはどこなのかと。それがはっきりしている地域と、よくわからない地域があります。まあ今回、後者の話は棚上げにして。

 地域のトップになると(国民的にどうなのかは脇に置いて、教員目線では)いいことも悪いこともあるでしょう。ヨソの学生についても責任を相互分担することになって、大学に配られるお金に差がつけば、相互協力といってもトップの負担は増えるでしょう。あくまで教員目線の話ですよ。

 さて、東京の隣に大学があったとします。東京を含むネットワークに入れてもらった場合と、東京を含まないネットワークに入れてもらった場合で、その大学にとっての損得勘定はどうでしょうか。まあ、誰が考えても同じ結論でしょう。逆に東京にある大学は、東京以外にある大学を自分のネットワークに入れると負担が増えるだけだと判断するかもしれませんね。

 前回のエントリにも書いたとおり、私立大学では「地方校」「小規模校」の財政的苦戦が目立っています。東京の隣というのは、極言すれば最後の最後まで危機が先鋭化しないロケーションです。ただ、周囲の大学はおそらく本省を巻き込んだ外交合戦をやっているんじゃないでしょうか。連携を模索する大学を重点支援するということは、模索しなければ支援もしないということ。

 大学そのものの統廃合は地域からの政治的反対に対応しきれない、というのが教育学部再編話の教訓でした。誰が教訓を受けたのか私は正確には存じませんが。もっとソフトに機能別の分業をしよう、という方向に再びグランドプランが組まれている現状があります。