東京と地方の私学をめぐる状況判断

私大の46.5%定員割れ 短大は過去最高の69.1%
http://www.asahi.com/national/update/0730/TKY200907300432.html

日本私立学校振興・共済事業団
http://www.shigaku.go.jp/s_center_menu.htm

また、4年制私大の入学定員充足率を地域別にみると、大学が多い東京と京都で昨年度より2ポイント程度下がる一方、北海道、東北(宮城県を除く)、甲信越、中国(広島県を除く)、四国では2〜6ポイント上がった。事業団は「これらの地域では、不況の影響で地元志向が強まった可能性がある」と分析している。

 と記事にあるんですが、もとになった文書と数字を見ると、もう少し現実はシビアだと思うんです。

 業界外の皆様にあまりなじみがないのが、もとになった文書p.8の「歩留率」。合格通知を出してどれくらい入学してくるかという率で、この率が分からなければ定員割れや取りすぎが起きるんですが、現実には分かりません。前年度実測値を基礎に予想するんですが、潮目だと大ハズレということもあります。

 さて、その歩留まり率ですが、東京は歩留率が1%の上昇、京都は0.14%の微減。つまり受験者の行動で入学者が減ったとすると、歩留率は大きく下がるはずなんですが、大学側の予想通りかそれ以上の入学者を得ています。つまり、大学が意図的に合格通知を控えたということでしょう。とくに東京は、併願があるので解釈が難しいとはいえ、志願者合計がむしろ増加しています。

 逆に、北海道と四国は入学定員減、宮城を除く東北、甲信越、広島を除く中国は合格率アップ(合格通知をたくさん出した)が大きな要因として働いています。四国の歩留率急伸は、前年まで歩留まりを保てないのを承知で合格通知を多く出していた課程が募集を止めた(入学定員減)せいだと思われます。全国平均の歩留率は1%ほどの微増ですから不況の影響はマクロ的にはあるのでしょうが。

 現状が横ばいであるという分析は正しいと思いますが、地方と小規模校が苦しいという従来のパターンが変わる兆しはまだ見えないようですね。