どうなる米中関係

 オバマ新政権に中国重視派が多いので日本政府があわてているという報道がアメリカの新聞に出て、それを人民日報系の国際関係雑誌が紹介して、さらにそれを日本のメディアが紹介した、なんてことが年明けにありました。実際どうであったかは知りませんが、実際今起こっていることは激しい米中のつばぜり合い。親中派政権どころか、オバマ大統領は中国対策シフトを敷いたように思えます。

 昨年末から、中国の有力なブレーンがアメリカ国債を中国が買うことは損だから見直すべきだと論説を公表して、観測気球が揚がっていました。9月以降の危機が大変な政府負担と民間の犠牲をもたらすことが明らかになってくると、「中国の貿易黒字と資本輸出がアメリカ官民の赤字を埋め合わせる」現在の構造を何とかしないといけない、という認識が欧米に広がり、新聞にも載っていたのですが、中国は早くからこれを意識していました。貿易黒字を縮小するために中国は人民元を切り上げろ、という主張はアメリカ官民が事あるごとに中国にぶつけてきていて、これに応じて中国も緩やかに人民元を切り上げてきました。

 ただ今までは、アメリカ国債のことがあるので、強気に出るといっても限度がありました。人民元を切り上げるほど、中国が持っているアメリカ国債は自国通貨建てで目減りするのですから。ドルに先安感があるなら、アメリカ国債を買うことは損です。中国政府は2008年半ばから人民元を切り上げることをやめてしまいましたが、これは輸出減退を懸念してのことかもしれません。どちらにせよ、2008年後半には、アメリカは中国への人民元切り上げ要求をあからさまにはしませんでした。

http://stock.searchina.ne.jp/exchange/?type=CNY&mode=chart&dwm=weekly:Title=2008年半ばから人民元切り上げ止まる

 ガイスナー財務長官の中国政府が人民元を「manipulate」しているという発言は日本よりもアメリカで大きく報道されていますし、中国もアメリカへの投資が大損をもたらしたことをあからさまに非難し始めています。

http://online.wsj.com/article/SB123318934318826787.html:Title=アメリカの経済問題が「have hurt China's holdings」と温家宝首相が非難したと伝える米ウォールストリートジャーナル

 もうアメリカの金利は国際的に見て決して高くありませんし、アメリカが国債消化を何に頼ろうと考えているのか、むしろそちらの点が気にかかります。