政府保証付き債券と世界の風当たり

http://www.asahi.com/business/update/0305/TKY200903050320.html:Title=株式市場活性化へ政府保証付き債券 経団連が提言へ

 市場は世界をつなぎますが、徴税権と税収は国家にあります。国際機関といっても政府の拠出が頼りで、国連に任せると解決というわけでもありません。

 例えば日本はIMFの強化にこのところ熱心ですが、これは韓国問題を念頭に置いているといわれます。資本流出と貿易不振で苦しむ韓国に直接借款を供与した場合、歴史的な問題から強く返済を迫ることが難しく、どうせ貸すなら容赦のない取立てで韓国でも実績を残したIMFを使おうというわけです。

http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2008-12-01T123524Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-351756-1.html:Title=08年韓国貿易赤字、100億ドル超える見通し=知識経済省高官

 日本に対して財政出動(その財源としての政府紙幣発行も含む)を求める意見が外国のメディアに出ることがあります。いまアメリカ、イギリスなどは巨額の財政出動を公約し、実施に移しつつありますが、目立った景況改善には至っていません。アメリカなどへの輸出で好況のおこぼれにあずかってきた日本も手伝え、という主張はある意味で当然です。完成品輸入の比率が昔より高まった日本で消費が伸びれば、海外にも雇用をもたらします。

 思いっきり砕いて言えば、アメリカの税金で仕事をもらってきた日本に、すこしは日本の税金で他国の仕事も作れ、ということ。

 その一方で、アメリカのGMクライスラー救済を最も極端な例として、自国に雇用を残すための税金投入も行われているのが現実です。

 さて、やっと経団連の提案に話が戻ります。この提案は、日本(だけ)の株式相場を下支えするシステムを日本政府の負担(保証ですから実際に負担になるかどうかはわかりません)で作れ、というもの。これによって(持っている株式が値下がりしないので)金融機関の自己資本比率は下がりにくくなり、融資に回せるお金が増えます。株式などを保有している企業も評価損を計上しなくて済み、収益が改善します。

 もちろん、これは海外の投資家にとっても日本株を魅力的にしますから、資金が流入することも期待できます。逆に他国が似たようなシステムを作り、資金の引っ張り合いになる可能性もありますが。

 この提案は、もっぱら日本企業にとって有益な対策を日本のお金で打つものです。国内から反対派出にくいでしょうが、海外からの要求を後回しにして日本のためだけにお金を使うような印象を持たれるかも知れません。また上にも書いたように、海外の株式市場などから資金が引き上げられる間接的な影響が出かねませんから、「株安の輸出」などと批判される可能性があります。一度実施したらやめにくい施策でもありますね。