エンタゲ

 インタゲというのは動学的不整合性の文脈で、通貨当局が「政治的な」意思決定をすると景気を押さえ込む方向の政策が取れなくなって困るから、数値目標を約束してしまおう(景気引き締めにいちいち反対が出ないようにしよう)というものだそうですね。

 だから「国債買いオペは日銀券発行残高までね」という政策委員会申し合わせは、インタゲじゃないけど政策ルールではあるんですよ。

 貨幣には資産需要と取引需要がある、というのは古典的な解説ですよね。いまストックの一種として円を持つ(株や債券すら買わない)動きが為替相場を動かすほど大きいわけですから、資産需要の円がいくら市中に出てもリフレ圧力になりません。かといってバーナンキが言っていたように、円の資産価値が減じるまで市山陽の円を出し続けたら、それこそヘッジファンドよりも、日本の家計資産が破壊されてしまいます。

 それだったらエンタゲなんかどうかなと思います。例えばこんなルール。

「1ドル=100円が達成されるまで、日銀は毎月1兆円の既発国債を買う」

 このルールのいいところは、円相場が下がったら買わなくてもいいところ。買うとどんどん日銀の資産内容が悪くなるんですからね。ただ国債利回りが下がるだろうから、金融機関の経営を直撃するんですよねえ。けっこう日本にも「円高で楽になる」セクターが出来てきたようにも思います。